「夏休(なつやす)みの宿題(しゅくだい)をやらない」ひとりの小学生(しょうがくせい)の挑戦(ちょうせん)
キャンプや
海水浴1)sea bathing、
虫取り2)insect catching、山登り3)Mountain climbing、花火大会4)Fireworks display。
夏休み5)Summer holidayには楽しい思い出が沢山あります。
その反面6)On the other hand、苦しい思い出もあります。
日本の小学生には夏休みの宿題7)home workがたくさん出るのです。
例えば
・各教科8)Subjectsの問題集9)Exercise books
・読書感想文10)Reading impression
・漢字11)Chinese charactersの書き取り12)Writing
・絵画13)Painting、書道14)Japanese calligraphy
・自由研究15)Independent research
などです。
その中で最も創造性16)Creativityを試されるのが自由研究です。
「自由研究」の名の通り、何を研究しても自由です。
テーマの設定も研究分野17)field of studyも自由です。
素朴な疑問の解決でもよいし、人類の難題18)difficult problemへの挑戦でもよいです。
社会構造19)Social structureの分析でもよいですし、夏休みに出た全てのウンコを克明に20)Clearly記録、分類21)Classificationした「私のウンコ帳」の作成でもよいのです。
タブーも限界もありません。
モラルの範囲内で何をやっても構いません。
完全に自由な発想22)Ideaで「立案23)Planning、研究、プレゼンテーション」を行いますが、「自由」がゆえにほとんどの学生は苦しむことになります。
自由ほど困ったものは無いのです。
「自由研究」が宿題である以上、彼らは「自由に研究すること」を強制されます24)強制される:Forced。「嫌な事(宿題)」を自由にやれと強制されることは苦痛25)painです。
テーマを与えられた方がどれほど楽だろうと思います。
「発表」がある以上、つまらないことは出来ないというプレッシャーもあります。
「自由」は暴力26)violenceになりえる27)Can beことを学ぶのも「自由研究」の目的のひとつなのかもしれません。
私が小学生に戻ったら「自由研究の「自由」における暴力性」という発表を行いたいと思っています。
■宿題を最後の日まで残しておいた時の僕と家族の反応28)reaction
岩手県29)Iwate Prefectureの小学生30)elementary school studentが今年の夏休みに天才的31)geniusな自由研究を行いました。
テーマは「宿題を最後の日まで残しておいた時の僕と家族の反応」
「自由」を逆手に取った32)to use “freedom” against teachers(or adults)反逆的33)rebelliousな研究を行ったのです。
宿題を一切やらずに夏休みの最終日34)Last dayを迎えたとき、いったい「僕と家族」に何が起きるのか?
彼が日記35)diaryに記した夏休み初日36)first dayから最終日までの心の動きを追ってみたいと思います。
初日
夏休みも始まり、きぶんはウキウキな気分で宿題のことは、まったく頭にない。
2日目から4日目
ドンドコキャンプにいった。 とても楽しく、宿題のことなど、まったく頭にない。
5日目から8日目
プールにいったり みつばちにいったりして、毎日がたのしすぎて宿題のことなどまったく頭にない。
9日目から13日目
七夕まつり37)Festival of the Weaverにいったりプールにいったりして 楽しすぎて宿題のことなどまったく頭にない。
14日目から18日目
100km徒歩の旅に出発。 旅のかこくさに38)harshness宿題のことなどまったく頭にない。
夏休みの前半39)first halfはまだ余裕があります40)余裕がある:afford。「 宿題のことなどまったく頭にない 」と宿題をしないで遊ぶことの背徳感41)Immoralityを楽しんでいるようにも思えます。
19日目から22日目
キャンプに行ったり海に行ったりおばあちゃん家にとまりにいったりバーベキューをしたり、花火を見たり花火をしたり“おぐにゃん”の家にとまりにいったり 夏井さんのかきごおり42)shaved iceをたべにいったりし 夏休みで1番イベントがあり たのしい期間では、あったのだが、次第に夏休みがおわるというきょうふ43)Fearがぼくの心にめばえ
始
めてきた
44) 芽生
え始
める
:sprout up。
「恐怖が僕の心に芽生え始めてきた」と心境の変化45)Change of mindが表れています。
楽しかった出来事を一気に書き連ねている辺りに、彼の不安46)anxietyが表れているように思います。まだ間に合うという心の迷いもあったのかも知れません。
残り3日
本来なら、朝早くからやらなければ、ならない量が残っているのだが、ぼくは自由けんきゅうのために、宿題に手をつけるわけにはいかない。
なぜか、ぼくの弟もまったく手を付けていない。
大丈夫だろうか。
残り2日
朝、宿題をやらずに学校に行って、先生におこられる夢を見て目が覚めた。
もうげんかいだ。変な汗がとまらない。
まだギリギリで後戻りできることへの葛藤47)mental conflictと、Xデーに向けて極度に48)Extremely高まった緊張49)nervousnessが感じられます。
そして彼はついに家族に真相50)truthを打ち明けます51)打ち明ける:reveal。
以下は家族の反応です。
お父さん
笑って「お父さんも最後の日に、泣きながらやってたな」という
お母さん
毎日、宿題おわったの?とガミガミ言われていたが、やってるよーとぼくが、ウソをついていたことがばれ52)ばれる、発覚する:be found outげきど53)fury。
おこって、お皿を1まい割る。
弟 まなぶ
かれも、まったく宿題をやっていない。大丈夫だろうか。
かれが、宿題に手をつけない理由がまったく分からない。
弟 まもる
かれは、保育園児54)Nursery school childrenのため宿題という意味がわからない。
そして夏休みの最後の朝を迎えます。
最終日
ぐっすりねむり、朝10時すぎに目が覚める。
なぜだろう、最終日にもかかわらず、すがすがしい55)Refreshing朝をむかえている自分がいる。
宿題は、まったくおわっていないのだ。
なぜか、先生におこられる夢もまったく見ない。
もしかして、やっていかなくてもおこられないんじゃないか?とすら思えてきた。
そもそも56)In the first place宿題とは、何のためにあるのか。
ぼくは、何のために生きているのか。
生命57)lifeは、なんのためにこの世にうまれてきたのか。
なぜ人は争うのか。
朝がた おわった。
学校に行こう。
完58)The End
この苦しみの原因は何か?
宿題という単なる現象59)phenomenonから視点を昇華60)Sublimationし、自分の心と世界の在り方、生命の全体を見つめることで、彼は真理61)truthの一端62)partに触れたのではないでしょうか。
この朝、彼が見た景色は何よりも美しかったことでしょう。
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