コラム:もう一度(いちど)人間(にんげん)になりたい?
「「生まれ変わったら男子になりたい」って言う子がいるけど、私はそもそも人間に生まれ変わりたくないんだけど。」
私がスターバックスの窓際に腰かけた瞬間、後ろの席に座る女子高生はこう言い放った1)言い放つ say decisively。
考え方の枠組み2)frameworkは所属する社会集団3)social groupによって規定されている4)規定する define/specify。女子高生の所属する5)belong社会集団とは学校であり、学校=世界である。
「男子」とは「学校にいる男の子」であって、その「男の子」が「いずれおっさんになる生命体6)life」であることは考慮されて7)考慮する take into accountいない。
「生まれ変わったら男子になりたい」という言葉はこのような世界観8)view of the worldから発せられている。
「私はそもそも人間に生まれ変わりたくない」
この発言の面白さは、「男子/女子」という「「学校=世界」的かりそめ9)temporaryの存在」を対比する10)contrast考えの枠組みを打ち破っている11)打ち破る break through点にある。が、「人間=男子/女子の総体12)whole」としている可能性13)possibilityは拭え14)拭う wipe awayない。そもそも、今こうしてあなた達の会話を盗み聞きしている15)盗み聞きする eavesdrop私の様な男は「人間」に含まれているのか?甚だ16)very疑問17)doubtである。
「え~?じゃあ何に生まれたいの?」
「猫とか良いよね。」
「犬の方が良くない?」
以上のようなやり取りを経て、この会話は終了した。
あっさりとしたやり取りに物足りなさ18)discontentを感じたと同時に、彼女らの精神は健全19)sanityなのだなと思った。
「鳥になり俯瞰的20)bird’s-eye viewに私たちの世界を見て回りたい。そして上空から男子に糞21)droppingsをぶっかけたい。」
「理由はわからないけど、ミトコンドリア22)mitochondriaとして体内から革命23)revolutionを起こしたい。」
学校的世界観を覆し24)覆すoverthrowたに見える彼女のメタ的ソリューションに感銘を受け25)感銘を受ける be impressedた私は、以上のような発言を期待してしまっていた。
しかし彼女らはこのような考えを持つほど屈折26)warp/warped mindしておらず、暇でもないのだろう。
豊かな社会を彩る27)grace明るい存在としてそのまま大人になっていただきたいと思う。
私がこうして記事をタイプしている間も後ろの席のおしゃべりはやむことがなく、終わりのない片翼飛行28)single- wing flightのスパイラルを描き続けている。
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